1.曲がり角に来た日本のホテル経営
〜日本のホテルは生き残れるのか〜
2000年9月
序章
日本型ホテル経営が直面する過酷な現況
民間の調査機関によると、(社)日本ホテル協会加盟ホテル423社の
2000年3月期決算は、その約80%が実質経常赤字と言う。
ホテル業界を取り巻く環境は、最近の第一ホテルの会社更正法申請、
ダイエーグループ7ホテルの外国資本への売却に象徴されるように
厳しさを増している。 関西地区においても、昨年度のホテルプラザ、
大阪コクサイホテルの老舗2ホテルの相次ぐ廃業、ホリディ・イン南海、
リーガグランドホテル、堂島ホテル・インターナショナルの事業破綻と営業譲渡、
上場2社(株)新阪急ホテル、(株)ロイヤルホテルの資産売却など、
まさに淘汰の時代に突入にしたと言わざるをえない。
海外においても、日本航空系JALホテルシステム、
全日空系ANAエンタープライズの 海外ホテル経営からの相次ぐ撤退に
見られるように、 国際舞台に強いと言われる
航空会社2社にして、ホテル経営システムの抜本的変革を迫られている。
一方、近年日本進出した外資系ホテル運営会社の好業績は、
日本のホテルにおける経営難が、かならずしも経済環境にのみ
起因するのではないことを証明している。
東京において、帝国、オークラ、ニューオータニの老舗御三家の低迷を尻目に、
好業績と個人客の圧倒的支持で確固とした基盤を築きつつあるフォーシーズン、
ウエステイン東京、パークハイアットの外資系新御三家、また大阪において
わずか3年の内にトップ・マーケットを席巻した
ザ・リッツ・カールトン大阪は、
その例である。
これらの4ホテルの成功は、優れた先端的運営システムを
完成させた外資系ホテル運営会社のノウハウと人材供給によってもたらされた。
先端的運営システムとは、基本理念構築、意思決定プロセス、人事システム、
人材育成プログラム、アカウンティング(会計)、マーケティング、情報システム、
サービス品質管理、施設マネジメント、購買システムおよび
部門オペレーションシステムを総合的に、かつ綿密に構築したものである。
上記外資系ホテル運営会社4社は、独自に開発した運営システムと、
その執行者である総支配人の派遣により、世界各地に、
それぞれ400ホテルから2000ホテルを運営している。
|