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仲谷塾長のエッセイ・論文集B


ホスピタリティ・エッセイ A
=ザ・リッツ・カールトンのミッション=

                    大阪学院大学  教授 仲谷秀一


● 事業経営にとってミッションとは?  

2000年夏、トム・クルーズ主演「MI−2」が、大ヒットしました。
シリーズ第1作「ミッション・インポシブル」のブライアン・デ・パルマ監督から、
香港ノワールの鬼才ジョン・ウー監督にメガフォンが代わった第2作「MI−2」は、
期待通りアクション満載の超娯楽作品に仕上がり、しばし猛暑を
吹き飛ばしてくれました。「MI」シリーズは、70年代の人気TV映画
「スパイ大作戦」 (原題:Mission Impossible)のリメーク版ですが、
「おはようフェリクス君・・・」で 始まるおなじみのタイトルバックは、
新作でも使われています。
このタイトルバックに流れる秘密指令が、ミッション・インポシブル、
すなわち「不可能な指令を達成させるミッション=使命」なのです。
事業、経営においても、ミッションは、常に達成されなくてはなりません。

最新のホテル経営手法であるホスピタリティ・マネジメントでは、
ミッション・マネジメントを、ホテル経営者が最初に取り組むべき最重要課題に
挙げています。ホテルに働くスタッフ一人一人が、自ホテルが利用者のために
どのようなホテルを目指しているのか、経営者がその実現の為に
何をしようとしているのか、その方向性を明確に把握し、目標達成のため
取り組まなくてはならないミッションを認識していなければ、事業の成功は
難しいでしょう。 最近の雪印乳業や、三菱自動車の不幸な事件も、
利用者がそれぞれの企業に絶大な信頼を置いていたであろう"衛生"に
関するミッション、"安全"に関するミションを経営と社員が共有していたら
起こらなかったかもしれません。 ミッションは、すべての経営にとって、
その存在の意義を問われる、社会的"使命"でもあります。


● 世界最高のホスピタリティを目指して  

世界的チェーンホテルであるザ・リッツ・カールトンは、
「世界最高のホテルを目指す」ことを目標に掲げ、その目標達成のために、
経営者と従業員すべてが共有する"理念"や、そのために具体的に
取り組まなくてならない"使命"を文章化しました。  リッツ・カールトンでは、この"使命"を文章化したミッション・ステーツメントをクレド呼んでいます。
クレド(Credo)とは英語で"信条"の意味ですが、その内容を
ご紹介したいと思います。 「リッツ・カールトン・ホテルは、
お客様への心のこもったおもてなしと、快適さ提供することを、
もっとも大切な使命とこころえています。私たちは、お客様に心あたたまる、
くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために、
最高のパーソナル・サービスと最高の施設を提供することを約束します。
リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは、感覚を満たすここちよさ、
満ち足りた幸福感、そして、お客様が言葉にされない願望やニーズをも
先読みしてお答えするサービスの心です。」 以上お分かりのように、
リッツ・カールトンは、利用者への最高のおもてなし、
最高のホスピタリティを提供することをミッションとしています。