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仲谷塾長のエッセイ・論文集B


ホスピタリティ・エッセイ A
=ザ・リッツ・カールトンのミッション=

                    大阪学院大学  教授 仲谷秀一


● ミッション・インポシブルを可能にするには?

ミッション・ステーツメントは、作るのはそう難しくないと思うですが、
その実現は簡単ではありません。リッツ・カールトンでは、
ミッションの達成のためさまざまな工夫がなされています。
前回ご紹介したように、クレドは、折りたたむと名刺大になる
通称ラミネート加工のカードに印刷され、全世界に37あるリッツ・カールトンの
全社員が携行しています。 この通称"クレド"と呼ぶカードには、
「クレド」だけではなく、クレド実現のための具体的な行動指針である
「モットー」、「サービスの3ステップ」、「従業員の約束」、
「ザ・リッツ・カールトン・ベーシック」が盛り込まれ、全社で共有する
"ゴールデン・スタンダード"と位置付けられています。 「モットー」は
従業員の人格的な基本姿勢を示し、「サービスの3ステップ」は、
サービスの基本姿勢を示しています。「ベーシック」は、
ゴールデン・スタンダードを実践するための20項目のアクションが
極めて具体的なわかりやすい言葉で述べられ、毎朝世界中の
リッツ・カールトンで唱和されています。 最近、付け加えられた
「従業員への約束」には、クレドを実現するために経営者が従業員へ
全力をあげて支援するとの決意表明が明記されました。 この"クレド"は、
社内だけではなく広く社外にも公表されています。 「最高のホスピタリティを
目指す」と言いきるのは大変勇気がいることであり、実現は
大変困難ですが、リッツ・カールトンは"クレド"を実践し、アメリカにおける
最高品質に贈られるマルコム・ボルドビッチ賞を2度にわたって受賞しました。
ホテル会社の受賞は他に例がなく、全産業で2度の受賞もないのです。

● 付記「ザ・リッツ・カールトン・カンパニー」

ザ・リッツ・カールトン・カンパニーは世界でもっとも伝統ある名前を持った、
もっとも新しいホテル会社である。 同社は1983年、米国アトランタで誕生した。
その名前の由来は、今から約100年前、19世紀末にさかのぼり、
後に「ホテル王」と呼ばれたスイス人セザール・リッツが創業した
パリの名門「ホテル・リッツ」、ロンドンの「カールトン・ホテル」に由来する。
20世紀初頭この華麗な最高級ホテルを北米にもとの考えで生まれたのが
「リッツ・カールトン」のホテルブランドであり、現在の会社に受け継がれ、
世界37の「ザ・リッツ・カールトン」が、多くの利用者を魅了している。
日本ではじめてのリッツ・カールトンが大阪にオープンしたのは、
1997年5月である。
参考) 日経BP社刊「リッツ・カールトン物語」

*このエッセイは、千寿製薬刊「Medi-Net」6号に掲載されたものです。