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仲谷塾長のエッセイ・論文集C


大阪ホテル最前線B 
「ホテルマン引き抜き、USJ開業控え異変。積極的に動く老舗。」

大阪新聞(H12年10月25日掲載)


【解説】

国際スタンダードのホテル雇用システムは、成果主義、能力主義である。 
一方、トレーニングシステムは、次代の担い手を手抜かり無く育てるノウハウの集積である。 システムなきホテルに残された道は、何処へ続くのだろうか。」

【記事】

社長就任披露パーティのもどり現象や来春開業のUSJへの期待感から、明るさが見えはじめたと言われる大阪のホテル業界で、人材スカウト合戦が静かに始まっている。ホテル業界は、もともと人材が流動的だと言われているが、終身雇用、年功序列を重視する大阪の地場ホテルでは、同じマーケット内での人材の移動は、新規ホテル開業時期に限られていた。大阪地場系、外資系、東京系問わず、開業時のキィスタッフは同地区内の他ホテルをからスカウトされるのが通常だ。

大阪地区のホテル開業時における人材移動の歴史は、昭和44年のホテル・プラザ開業にまで遡る。大阪のホテル界に一時代を画し、昨年30年余の幕を閉じたホテル・プラザには、開業時、当時ライバル関係にあった大阪ロイヤルホテル(現リーガロイヤルホテル)から数十人の人材が動いたとも言われる。 その後、次々とオープンした大阪地区のホテルへは、プラザ、ロイヤルの2大ホテルから人材が流れた。平成にはいり人材の高齢化が目立つようになった老舗ホテルに代わって、大阪ヒルトン、大阪全日空シエラトン(当時)、ウエスティン大阪など外資系ノウハウで運営されるホテルが、新規開業ホテルの人材供給源となっていった。

  このように新規開業に限られていたホテル間の人材移動に、最近異変が見られるようになった。長年、新卒の定期採用と終身雇用をまもってきた北区内の老舗ホテルが、積極的に中途採用のスタッフ獲得に乗り出し、ライバル会社からスタッフの引き抜きをはじめた。また逆に、この老舗ホテルの若手営業マンが複数の他ホテルに引きぬかれたとの業界情報もある。この異変の裏には、急激な人事リストラによる中堅層の弱体化、てっとりばやい売上確保があると見られる。人材の移動に関する最近の傾向は、人脈や売上をもって移動出来るマネジャークラスや営業マン等に限られるようになった。

  同業間の転職が他業種より多いと言われるホテル業界ではあるが、退職及び他ホテルへの就職には、後ろめたさがつきまとう。 転職が理由では上司もすんなり円満退職の手続きをとりずらい。 能力主義が徹底した外資系ホテルでは状況はかなり違う。外資系ホテル間を転職したある部長は「現行より上級の職で他ホテルにスカウトされること自体、外資系ホテルでは評価されます」と語る。さらに彼は「退職時、将来更に上級の職が現ホテルで空けば復帰するかと意思確認されることすらある」と続けた。 こうして実力をつけ昇進を重ねる先輩もいると言う。

 老舗ホテルも、業績不振の中で人事リストラを重ね、再生への歩みをはじめたように見える。 しかし外資系ホテルの人事風土との差は大きく、人材育成と強化にむけて、真のリストラクチャリング(再構築)への道は遠い。