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サイバー講義 『戦略的ホスピタリティ論』

特別講義第1回「大阪発、日本型ホテル経営の変革!」

〜世界に類のない特異マーケットへの対応には、
グローバル・スタンダードの日本的着地が不可欠〜



1 地方都市型ホテルは大阪に学べ
 

21世紀に生き残りをかける日本型ホテル経営のキーワードは、グローバリゼーション(国際標準化)と
ロ−カリゼーション(地域特化)である。

政治、外交、経済、情報の集積地である東京は、ニューヨーク、パリ、ロンドンなどと肩をならべる世界都市であり、より大きなマーケット論理の中に生きている。首都圏、とりわけ京浜地区のホテル業界は、近年進出した外資系ホテル群が、平成の黒船として経営システムのグロ−バル化を推し進め、ホテル業界の眠りを覚ました。これら外資系ホテルの快進撃は、世界および日本全国をマーケットとして達成されたことも真理である。

一方、大阪は、日本第2の世界都市ではなく、巨大なローカル都市なのだ。その市場規模は、首都圏に比し人口構成では、3分の1であっても、国内外からの流動人口や経済活動の実体を反映させると、実質10分の1でしかない。かつて大阪の老舗ホテルは、首都圏よりはるかに小さなマーケットで独自の発達をとげた。大阪のホテル業界は、日本の都市型ホテルが、均しく内包している特性を色濃く持っている。東京から進出してくる大手チェーンホテルや外資系ホテルさえ、ローカルマーケットに適合することが要求される。

大阪の、地元老舗ホテルの売上に料飲部門の占める割合は、70%を超える。料飲特化と言われる日本のホテルの中にあっても、特に高い数字だ。一般宴会のメインターゲットは、地元中小企業主体であり、ブライダル宴会もまた、これら中小企業オーナーの子女の襲名披露的役割を果たしていた。レストラン・バー部門にしても、接待マーケットは、首都圏のそれにくらべはるかに小さく、これまた自営業者の個人利用にささえられてきた。こうしたローカルマーケットへの特化とともに、大阪のホテルは"御用聞き"型セールスと"イベント集客"型マーケティングによる販売促進スタイルを確立した。日本型ホテルにおけるローカリゼーションが一つの完成を見たのである。