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サイバー講義 『戦略的ホスピタリティ論』

特別講義第1回「大阪発、日本型ホテル経営の変革!」

〜世界に類のない特異マーケットへの対応には、
グローバル・スタンダードの日本的着地が不可欠〜



4 グローバル・スタンダードの運営システムを日本的に着地させる

総支配人による、事業執行には、グローバル・スタンダードの運営システムの導入が不可欠であることは、言うまでもない。しかし、運営のグローバル化も総支配人を頂点とする運営部隊への適正な権限委譲なくしては効力を発揮できない。

一例をあげると、ユニフォーム・システム(国際統一ホテル会計基準)が、旧来型組織で運営されるホテルで評価されない現実がある。 部門利益、営業総粗利益(GOP)達成を狙いとする、この管理会計システムは、それぞれの利益責任をもつ総支配人や部門長への人事権、予算執行権付与なくしては成立しないのである。ユニフォーム・システムは、単に会計上の基準であり、尺度でしかない。しかし、その運用の根底には現場への予算執行権と人事権の委譲、能力・成果主義による人事・給与システムの思想が存在するのである。

またアメリカで考案された宿泊部門管理主体のユニフォーム・システムを日本的に適合・着地させるには、少なからずローカライズする必要がある。売上の大部分をしめる一般宴会、ブライダル宴会を、セールスフォースと一体化したプロフィットセンター(収益発生部門)として再編成することなくして、部門別損益管理は実体がないものになるからだ。 

 

5 新日本型ホスピタリティ・マネジメントを目指して

ユニフォーム・システムは、ほんの一例であり、組織ガバナンス、部門オペレーション、マーケティング、クオリテイ・マネジメント、イールドマネジメント、ITシステム、さらには、ミッション・マネジメント、ブランドマネジメントからなる新日本型ホスピタリティ・マネジメント理論を今こそ、作り上げなくてはならない。

理論構築にも増して重要な課題は、次代のホスピタリティビジネスを担う人材の育成である。 単にサービス従事に留まらず、顧客価値の創造と収益性を結びつけることができる、新時代のビジネスリーダーが今ほど求められる時代はない。

日本のホテル経営にとって時代は、明治維新のごとく大変革期を迎えている。 200年余の閉ざされた国にありながら、独自の世界感を切り開いた坂本竜馬のごとき、若きホテリエの出現を切にのぞみたい。 ともに、微力ながら自ら其の先駆けとなるこを、念じるものである。